Hey!Say!JUMPのコンビの中で、もっともドラマチックな関係のやまゆと。
2人の関係はJUMPの歴史の中で激しく変化してきた。
前回は、やまゆとの入所から、センター交代劇までを追いました↓
センターの交代を経て、ギクシャクし始めたやまゆと。ふたりはその後、どうなったのだろうか。
氷河期のやまゆと
Jr.時代からキラキラ輝き、常に脚光を浴びていた中島裕翔。そんな彼に追いつきたくて、ひたすら努力を重ねた山田涼介。
2007年11月に、ゆーてぃをセンターに据えてデビューしたHey!Say!JUMP。
しかし、2ndシングル『Dreams come true』から山ちゃんが前に出て、3rdシングル『Your Seed/冒険ライダー』では山ちゃんと雄也のWセンターに…。
そして、2008年10月にリリースされた4thシングル『真夜中のシャドーボーイ』で、完全にHey!Say!JUMPのセンターは、山ちゃんになった。
センター交代がきっかけでやまゆとの関係はギクシャクし始め、やがてお互いを避け合う氷河期に突入したのだ。
ひとり悩む中島裕翔
この時期のゆーてぃは、山ちゃんだけでなくメンバーとの関係性にも悩んでいた。
一時期、勝手にすごく仲間外れにされてるっていうか……。
俺、メンバー内で浮いてんなって気がしてて、僕自身の問題だったんですけどね。
自己中だったから。
『Myojo』2014年4月号「中島裕翔10000字ロングインタビュー」より
ふたりが中学生のころ、山ちゃんがゆーてぃの乳首をつねったことが原因で大げんかしたエピソードは有名だ。本人たちもあちこちのメディアで語っている。
山ちゃんに乳首をつねられたゆーてぃは、怒って山ちゃんのお尻を蹴り飛ばしたのだが、その時のメンバーの反応で、グループ内で自分が浮いた存在だと感じてしまったのだ。
そのときなんか、みんな山ちゃんの心配だけしたんですよね。“大丈夫?”って。
それがショックで。
“え、なにこれ!?俺、浮いてんの?”って。
『Myojo』2014年4月号「中島裕翔10000字ロングインタビュー」より
真面目でとことん考えるタイプのゆーてぃは、誰にも相談せずひとりで悩みつづけた。悩みすぎて胃がキリキリと痛み、高校1年生のときは保健室に行くことが多かったという。
そんなゆーてぃに追い打ちをかけたのは、高校2年生の文化祭での出来事だ。
同じ高校の3年生だった大ちゃん(有岡大貴)と、山ちゃん、知念くんの3人は、文化祭のステージでダンスを披露した。しかし、同じグループで活動しているメンバーにもかかわらず、ゆーてぃだけ、誘われなかったのだ。
今なら俺とやまの関係がギクシャクしてたし、俺は俺でクラスの友達となんかやってたんで誘いにくかったんだろうなってわかるんです。
でも当時は、“山田のそばにいたほうがいいんだろ”ってななめに見てて。
劣等感や嫉妬とか妬み僻み、たくさん持ってる時期でしたね。
『Myojo』2017年11月号「中島裕翔10000字ロングインタビュー」より
Jr.時代には、周囲から愛されまくっていたゆーてぃにとって、この体験はショックだったにちがいない。
でもここから…
悩みに悩んだゆーてぃは、ステキな青年に成長するのよね…!
山田涼介の行動
ひとりで悩むゆーてぃに、当時の山ちゃんは苛立っていた。
だってムカつくんだもん。何言っても真(ま)に受けて落ち込んで。
センターかわったタイミングでもあって、ものすごい悩んでる時期だったと思うんです。
でも俺は “悩む時間があんなら前向け!”ってタイプだから。
『Myojo』2018年2月号「山田涼介10000字ロングインタビュー」より
氷河期のエピソードで衝撃だったのは、山ちゃんが2017年9月23日放送の『メレンゲの気持ち』で披露したこの話だ。
僕と中島の身長差が、まだそんなにないころ…今はすごいあるんですけどね。
とある番組で、僕が前、中島がうしろで歌っていて…。僕のあとに中島が歌うので、僕は歌い終えたらしゃがまないといけなかったんですけど、
「テレビに映したくねぇ!」と思って、そのまましゃがまないことがありました。
驚きの告白に、スタジオは騒然とした。
ガチの氷河期!
話を聞くだけで胸が痛くなります…!
山田涼介の悩み
このころは、山ちゃんもまた悩んでいた。といっても、彼は人間関係に悩んでいたわけではなく、アイドルとしての自分にもどかしさを感じて苛立っていたのだ。
氷河期の初期、2008年に山田、中島、知念、有岡は、ドラマ『先生はエライっ!』や『スクラップティーチャー』に出演。このころ、山ちゃんは撮影の合間にこっそり泣いたことがあるという。
まだ中学生だったころ、ドラマの収録現場で、隠れて泣いていたことがあるんです。
気づいたらなぜかとなりで知念も泣いてて、“何なのこのコ”って思った(笑)。
なんで泣いているのか聞いたら、“涼介が悲しいと僕も悲しい”って、あいつ言ったんです。
『Myojo』2018年2月号「山田涼介10000字ロングインタビュー」より
当時の山ちゃんを救ったのは、知念くんだった。
雪解け
2012年山田涼介の主演ドラマ『理想の息子』に中島裕翔も出演。ふたりの共演に「やまゆとが、とうとう不仲を乗り越えた?」「氷河期が終わったの?」とファンの間でも話題になった。
ゆーてぃ自身も、このドラマがきっかけで変われたと語っている。
高3で『理想の息子』にやまといっしょに出て、そこでふっきれたのかな。
センターや主役じゃなくても、自分のポジションってあるんだなって気づけた気がしたんですよ。
『Myojo』2017年11月号「中島裕翔10000字ロングインタビュー」より
「自分には自分の輝く場所がある」と気づいたゆーてぃは、ようやく冷静に周囲が見えるようになった。
(メンバーは)僕をキライだったり、傷つけようとしているわけじゃない。
それどころか、みんなが自分に対して距離をとっていると思っていたのが、
心を閉じていたのは、距離をとっていたのは僕の方だったんだって。
『Myojo』2017年11月号「中島裕翔10000字ロングインタビュー」より
「自分でも驚くほど視界が開けた」と語るゆーてぃ。ここまでくれば、雪解けはすぐそこだ。
「悩みに悩んで、もがき苦しむやまゆとを堪能したい!」というS気質(笑)の方には、ドラマ『理想の息子』の主題歌『SUPER DELICATE』のPVを鑑賞するのがオススメ。ドラマの脚本を手がけた野島伸司さんの奥深い歌詞と、心を通わせたいのに近寄れない、やまゆと絶妙な距離感に心がヒリヒリします!
雪解けは7会?
やまゆとの雪解けは2013年の年末。11月30日で20歳になった知念くんの誕生パーティーを兼ねた7会だったといわれている。
最初にアクションを起こしたのは山ちゃんだ。
「今日は、本音で思ってることを話そうよ」と切り出した。そして…
裕翔に “ぶっちゃけお前のこと嫌いだった”って。
知念も圭人も気づいてたから、“突然、何ぶっ込んでんだ!”って。爆弾発言すぎて、ふたりとも笑っちゃって(笑)
『Myojo』2014年8月号「山田涼介10000字ロングインタビュー」より
山ちゃんの言葉に対して、ゆーてぃは「わかってたよ。それに俺もキライだった」と答えたという。
山ちゃんはさらに、
“でもこういうこと話せるってお互い成長したってことだよね”って。だから、“もうそういうのやめにしようぜ” “わかった”って。
『Myojo』2014年8月号「山田涼介10000字ロングインタビュー」より
これが、やまゆとの氷河期が終わった瞬間だ。
これ以降、ふたりの関係は改善してグループの結束が固まったのだという。そして、伸び悩んでいたHey!Say!JUMPの快進撃がはじまるのだ。
しかし!
私は、異議を唱えたい。
6年間もくすぶっていた関係が、一瞬で改善するものだろうか?
中島裕翔の心情
ゆーてぃは、この記念すべき7会のことを、実はよく覚えていないのだという。
申しわけないんですけど、あんまり細かい記憶がないんですよね。
やまに “お前のことキライだった” って言われて、“俺も” って答えたのはなんとなく覚えてて、
でも、人に “キライ” って言われるってショックじゃないですか。
だからきっと、その瞬間の記憶だけ消えてるのかも(笑)
『Myojo』2017年11月号「中島裕翔10000字ロングインタビュー」より
繊細な裕翔くんは、いきなり山ちゃんから「おまえのことが、キライだった」と言われて、驚き、傷ついたにちがいない。
ふたりきりの場面ならまだしも、そこには知念くんと圭人も同席していた。しかも知念くんと圭人は、そのとき「爆弾発言すぎて、笑っちゃった」のだ。
ふたりに悪意はなかったとはいえ、深く悩んでいたゆーてぃは、笑われたことでさらに傷ついただろう。「ショックで記憶が飛んでいる」のもうなずける。
山田涼介の真意
それでは、山ちゃんはなぜ、こんな荒療治をしたのだろう。
「すべてはグループのため」だったのではないか。
2013年当時、やまゆとの不仲をファンもうすうす気づいていた。アイドルグループとしてHey!Say!JUMPが大きく成長するためには、これはマイナス要因だ。
そこで山ちゃんは強引に、「雪解け」の既成事実を作った。そこには証人となる知念くんや圭人の同席も必要だったにちがいない。
この7会以降、山ちゃんは「裕翔くん」ではなく「ゆーてぃ」と呼ぶようになった。少し遅れて、ゆーてぃも「やまちゃん」ではなく「やま」呼びになる。そして、ふたりはわちゃわちゃと絡み、お互いをほめ、ライバルだと認めるようになった。
これは「不仲を経てお互いを認め合うライバルになった」という、新しいやまゆとのブランディングだったにちがいない。
そして兄組、BESTのメンバーも、やまゆとの「雪解け」を強く願っていたはずだ。
2014年5月 東京ドーム『Aino Arika』
2014年5月に行われたコンサート『LiVE with me in TOKYO DOME』のアンコール『Aino Arika』では、今でもファンの胸に残る名シーンがあった。
ゆーてぃが山ちゃんにキスをして、おんぶしてステージを走り、最後にハイタッチをしたのだ。そんなやまゆとを笑顔で見守るBESTメンバーのまなざしが優しくて、Hey!Say!JUMPの魅力が詰まった最高に幸せなシーンだ。
こちらは、
YouTube「Hey!Say!JUMP公式チャンネル」にアップされている動画。
何度見ても胸が熱くなる大好きなシーンです!↓
このJUMPの歴史に残る名シーンをプロデュースしたのは、光くんだった。
このときのことを、ゆーてぃは次のように振り返っている。
自分でもヘンな感じだった(笑)。
光くんが、“やまの方へ行け” って合図してくれたんですよ。
『Myojo』2017年11月号「中島裕翔10000字ロングインタビュー」より
※原文では「光くん」を「薮くん」と誤記されており、2017年12月号の「八乙女光10000字ロングインタビュー」内で訂正された。
ジャニーズならではのペアリングというか、僕がやまに並んだなんて思いませんけど、グループの中でライバルっぽい感じというか。
どのグループにも、そういう関係性のペアっていると思うんです。
それこそ光くんにとっては、薮くんという存在が、まさにそれで。
光くん、ふたりのためにも、グループのためにも、ファンのためにも、“今行くべきだよ” って、僕の背中を押してくれたんだなって。
『Myojo』2017年11月号「中島裕翔10000字ロングインタビュー」より
私は、このシーンこそ「やまゆとの雪解け」、そして「奇跡のライバルやまゆと」が誕生した瞬間だと思っている。
Hey!Say!JUMPは、やまゆとの関係性を自分たちでブランディングして育てていったのだ。
このコンサート「LiVE with me」 を知念くんは “宝物” だといいます。
詳しくは、こちらの記事をぜひお読みください↓
「Live with me」のDVDを “宝物” だという知念くん。このディスクには、最高に幸せな “やまゆとの雪解け” の瞬間が収録されている。ファンにとっても大切な宝物なのだ。
現在のやまゆと
現在のやまゆとは、お互いをリスペクトしあう、まさに好敵手だ。
特に俳優として、これからもお互いに刺激を与え合っていくのだろう。
ゆーてぃはいつも、大切なシーンの撮影時に、山ちゃんの顔が浮かぶそうだ。
あいつだったら一発で決めるんだろうな…
そして、山ちゃんは、日本アカデミー賞の授賞式でステージに上がった瞬間にこう感じたという。
次にこの景色を見るのは裕翔だ…
一見全く違う性格に見えるふたりだが、目の前のことに全力で向かい合い、決して手を抜かず努力を惜しまない点が、とてもよく似ている。
炎の赤の山ちゃんと、清らかな水の色のゆーてぃ。
ふたりは、お互いを認め合い、高め合う最高のライバルです!
いのやまの不仲説を検証!
メンバーのJr.時代の物語、Hey!Say!JUMPの誕生秘話はこちらから…
やまゆとのキス&おんぶシーンは、『Hey! Say! JUMP LIVE TOUR 2014 smart』DVDのDisc2『「LiVE with me in TOKYO DOME」ダイジェスト』に収録されています。伊野尾くんが髙木さんに愛の告白をする場面も忘れずにチェック!